魅力再発見!!【Mahoramatic Non-fiction】対談企画「中編」ダンスミュージックに回帰するまでの城台の音楽的ルーツ
それではお待ちかね。対談企画中編をお送りいたします。あまりにも長くなったので3分割してお届けします。今回は城台の音楽的ルーツを掘り下げていかにMahoramatic Non-fictionの音楽性に辿り着いたのかを紐解いています。
【お知らせ】
— 城台 宏典 [Kosuke Jodai] / Glow Defective Soldier代表 (@gds_kj_ud) 2019年1月9日
対談企画の後編を文字起こししているとしていましたが「中編」をアップします。長くなったので。さらに言うと「魅力再発見」の企画が思い浮かばない。ならば現行の対談企画を厚塗りしてしまえ!!
ということで、中学・高校・大学時代を遡り、城台の音楽観を深く掘り下げています。
前編をまだ読んでいないという方はこちらから。
glowdefectivesoldier.hatenablog.com
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―さて後半戦です。よろしくお願いします。前編では制作当時の流れに則りながら、それぞれの状況だったりを語ってもらいました。完成したときはどういった心境だったんでしょうか?
コンポーザー城台(以下、コン城):ギリギリでしたね。確か12月8日にLeoryphan Vistavkifcoのミックスが終わったのでギリギリ20代のうちに出来上がりました。つまり20代最後の作品という事になります。
グラフィックデザイナー城台(以下、グラ城):こっちはそれから少しかかって、12月中頃に全て出来上がったと記憶しています。ジャケット中面とレーベル面(ディスク部分)のデザインが残っていたので。
―どちらも新境地といったところでしょうか。
コン城:元々6曲構成だったものがLeoryphan Vistavkifcoのあまりの完成度の高さに、想定していたEPの構成が崩れてしまって大変でしたね。3曲構成で編成をやり直しているとき、Benthend Warrhamはボツになる予定でした。そこから新たに頭にイントロを加えて3曲の通りを良くしてしっくりいく感じになりました。
グラ城:以前ブログの方で制作秘話を書いていたじゃないですか。1つ重要な事抜けてません?
コン城:うん。話しの流れ的に差し込めなかったんですかね。実は6曲構成のとき、ヒドゥントラック(隠しトラック)が存在していたんですよ。
―そうですね。話しの流れで差込ようがなかったことと、あえて掘り返す必要はないかなと思ったので黙っていました。
コン城:これ一部分だけインスタに投下してます。
グラ城:出た。
―やりましたね。ちょっと彩度を落とした動画のやつでしたっけ?
グラ城:この文章は何なんですか?前半は分かりますが公判が意味不明です。
コン城:前半はMahoramatic Non-fictionの前の曲達ですね。この時は6曲構成で行こうとしていたんですね。恐るべきはLeoryphan Vistavkifcoがまだ1ミリも出来ていないという事。何を根拠に言っていたんでしょうか。
―でもこの後半の言葉こそ、Leoryphan Vistavkifcoが出来上がる要因を作ったとされるあの事件ですよ。
コン城:それをインスタに投稿していたんですか?どういう神経してるんですか。
―どういう精神状態だったんですか?が正しいのでは、と。
グラ城:いつか話せればいいなのやつですね。これは置いときましょう。曲は暗いですね。こちらの渾身の白いジャケットが台無しじゃないですか。
コン城:やはり3曲にして正解でしたね。これはダンスミュージック的なものにシフトしたものの、ちょっとまたアンビエントな一曲を作ってみたくなったんです。そしたらそこそこの手応えだったので捻じ込んでしまおうと。ボツになった「Alchogen Quarikuer」からそのまま続いて始まる予定でした。なので6トラック目は9:50でした。名前は「Elnende Pellugraw(エルネンデ・ペルーグラウ)」です。
グラ城:これは再利用される予定はあるんですか?
コン城:ここで使った音の一部を「Garapagositic Lupin-key」で使ったのでもうこの曲はお蔵入りです。実は「AIDMAtic live Rain-bow」に収録しようという動きが初期にありました。が、それぐらいの時期になるとポンポン曲が作れるようになっていたので候補から外れました。
―今回のプロジェクトは短い期間に大量の紆余曲折を経ていますね。仮説として一度当てはめてみて、しっくりこなかったものは悉く排除していきました。
グラ城:城台 宏典という名義で発表する作品自体が今後、どれだけ発信できるか未知数ですからね。出せると踏んだものには徹底的な精査をして然るべきかと。
コン城:お二人がそうした「検問」の役割をして頂いているのでこちらは好き勝手やらせてもらっています。
―コン城さんはアイデアの「油田」ですからね。アイデアの発端として重要なポジションにいます。そこに期待している分、マネタイズの部分は全てグラ城さんに任せています。
グラ城;油田じゃなくて源泉の方が伝わりやすいのでは?
―なるほど。油田や源泉という言葉が出てきたので話題を変えます。今回の後編のテーマに移ります。ようやく本題です。Mahoramatic Non-fictionそのものを語るよりも、EPが出来上がるまでに何に影響を受けて生まれたのか、それを追求していきたいと思います。
コン城:おっそれはやってみたかったことです。
中学時代にある種「スタジオ制作的な何でもありの楽曲で可能になる激しさ」に触れ、高校時代ではそれを「プレイヤーとして体現しているものに流れていった」と捉えられますね。
―前編では映画「レヴェナント」の全体の空気感から影響を受けたとありました。そこにダンスミュージックの要素を取り入れてこれまでにない扉を開いたとありました。そこからもう一度掘り下げていきたいと思いますが。
コン城:はい。これまでダンスミュージックは作ってきませんでした。楽曲の一要素として突如その方向に場面転換する事はありましたが、純粋なダンスミュージックは初めてでした。
グラ城:ダンスミュージックを選択肢に入れるバックボーンはどこから生まれたんですか?
コン城:それはダンスダンスレボリューションからですね。初めて触れたのは中一の頃で、これまでの人生の半分以上をダンレボの楽曲を聴きながら生きてきました。この頃はゲーム音楽にばかり触れていました。ファイナルファンタジー、キングダムハーツ、、ザ・レジェンド・オブ・ドラグーン、メタルギアソリッド、立体忍者活劇天誅などですね。その中でも激しい曲ばかり聴いていました。激しければ何でも良かったんです。なのでいわゆるボス曲ばかりに傾倒して聴いていました。しかも当時は好きな曲はテレビにラジカセを向けてカセットテープに録音して聞いていました。
PARANOiA Collection MegaMIX Luy 2099
コン城:急速に迫ってくるものが好きでしたね。切迫した中でも流麗なメロディを失わず、それどころかメロディがしっくり入ってくる。戦闘の渦中にいるような感じを曲全体で表現し、主人公達の戦う意志をその中にメロディとして内包させる。今思うとそれが自分の楽曲制作の根底にあるかもしれません。
―なるほど。確かにそういう評価を受けたことがありましたね。「なんかRPGのボスと戦う曲みたいだな」て。
コン城:これを下敷きに、高校時代はパンクロックに触れ、ロックに傾倒していきます。高校時代に聴いていたものを下に貼ってみます。
Sum41- We're All To Blame Lyrics
Led Zeppelin - Babe I'm Gonna Leave You (Lyrics)
Nirvana - You Know You're Right
The Mars Volta - Cygnus.... Vismund Cygnus
System Of A Down - Holy Mountains #08
コン城:あんまり動画を貼りすぎると重くなるのでこれは最低限です。節目節目でターニングポイントになった楽曲たちです。どれも壮大な中で過剰に激しくて、そしてメロディは取りこぼさない。というか最終的にメロディが全ての要素の中で一番引き立てられている。
グラ城:前者と後者を比較して他に大きな魅力は何ですか?
コン城:ロックの中でも凄く差別意識が強くて(苦笑)、ライブ演奏中に暴れまくっているバンドであればあるほど良かったんです。そして暴れているけど、演奏していないけどライブを成立させるものに魅力を感じていましたし、そうであるべき。そうでないものは「クソ」と位置づけていました。
At The Drive In - 01-26-01 Big Day Out, Sydney
グラ城:それは極端ですね(笑)
コン城:あとパンクロックに最初大きな影響を受けています。でも色々なバンドを見ていく中で、パンクロックがわざわざ「パンク」を名乗った時点で既にダメだ。エモーショナルロックが「エモーショナル」を公言した時点でダメだ。とも思っていました。すべての音楽はパンク的純粋さや現状打破、反逆性は持っているし、エモーショナルは全ての音楽が持ち合わせているべきものだし、むしろエモーショナルではない音楽ってなんだよ。存在しないだろ。とか思っていました。
グラ城:高校時代既に悲惨な状態ですね。
コン城:だからジャンル分けというものが嫌でした。Aに対してBやCが出てきてそこで各々がそれぞれの魅力を存分に出していけばいいと思ってました。
グラ城:それはアートとデザインの線引きをする必要なんていないと思っている私の思想に少なからず影響を及ぼしているんでしょうか?
―多分そうでしょう。
グラ城:ありがとうございます。納得できました。受け止めます。みんな現段階目の前のプロジェクトをよりよいものにしたいだけ。その目の前の目標に対する「方法」を「手段」や「職業」で分けてしまうのは非常に効率の悪い事だとすっと思っていて、「良い物は良い」それでいいじゃないですか。それを「アート」と言うのか「ヤバイ」と言うのか「最高!!」というのかは自由で、さっさと次ぎ行きましょうよというのが私なんですよね。
―グラ城さん。そこは後編で思いっきり掘り下げましょう。一旦話しを戻します。
グラ城:夜は長いですからね。
コン城:ちょっと付け加えておくと、よりライブアクションが激しく、なおかつ演奏クオリティを下げていないバンドを追い求める過程で、最初はGOING STEADYから銀杏BOYZに辿り着きました。その観点で色々探していたところ、AT THE DRIVE-INに行き着き、そのバンドが解散して、より暴れている2人(voのセドリックとgtのオマー)が新しくバンドをやってるらしい。これがやばくないわけがない。とうとう辿り着いたぞと、手にしたのがTHE MARS VOLTAです。
グラ城:アートワークも多分に彼等からの影響が強いです。
コン城:THE MARS VOLTAには全てがありました。エレクトロミュージックも、交響曲的で性急なものも、物語を想起させる展開、なによりそれを暴れ散らして成立させる。そして楽曲は固定ではなく、アレンジやセッションによっていかようにも変化させていく。当時は自分だけの拠り所としての聖域のようなバンドを欲していました。
The Mars Volta - Inertiatic ESP
グラ城:ここをきっかけに、THE MARS VOLTAの交友関係で音楽を掘っていくようになりますよね。SYSTEM OF A DOWNも最初は2005年に北米ツアーを一緒に周ることになっていて、ずっと名前は知っていたけど、この機会に聴いてみようが始まりでしたね。そこからHELLAやBATTLES、来日公演のサポートをしたGOTH-TRAD氏と。
―中学時代にある種「スタジオ制作的な何でもありの楽曲で可能になる激しさ」に触れ、高校時代ではそれを「プレイヤーとして体現しているものに流れていった」と捉えられますね。その出会いの中で最終的にTHE MARS VOLTAとSYSTEM OF A DOWNに辿り着いた。そのままお願いします。いい感じに見えてきました。
コン城:はい。高校時代の最後にこの両バンドに出逢ったのは大きかった思います。大学時代はこの両バンドからの影響が絶対的な楽曲制作やアルバムを作り始めることになります。ずっとバンドを組んで音楽をやりたいという欲求はありました。でも全然出来なくて、潜在的に嫌っていたんですね、大学のサークルに入ってバンドをやるっていうのが「軽さ」を感じてしまって。
―今になってみれば本当にどうでもいいですね。
コン城:そう。大学に入ったのが2006年で、アニメで「涼宮ハルヒの憂鬱」が始まった年でした。ボクは2009年の第二期から観たのですが、今思うと当時謎のシンクロをしていたんですね。
グラ城:ただの軽音バンドには興味ありませんって(笑)?
コン城:今になってみれば本当にどうでもいいですね。作る楽曲にはコンセプトが必要だ。ただ出来た曲を羅列するだけではアルバムとは言えない。それは上の両バンドからの影響でした。でもそこにシンパシーを感じたのはRPG漬けになっていた中学高校時代の影響があったのかもしれません。あんまりたくさんのゲームをやってきたわけではありませんでした。限られたもの(はまったもの)をとにかくやるスタンスでした。
―広く浅くではなく狭く深くのタイプですね。
グラ城:その経験からか、何に対してもそうですよね。業界全体の広い知識を得ようとはせずに、「これだ」というものに深く根を張っていく感じ。
大学時代に作っていたものは、自分が社会に音楽を投下する意味を考えた結果、「企業という永続機関の存続のために犠牲になる人間」。それをTHE MARS VOLTA的に呪術的な詩によって「半抽象化された」虚構と現実の狭間から導き出される真理を描こうとしていました。
コン城:大学時代はとうとうKING CRIMSONに出会います。高校時代にグミチョコレートパインを読んでいたし、小学校からジョジョも読んでいたので名前は知っていました。THE MARS VOLTAからプログレッシブロックに直接アクセスする機会を得てのようやくの着地です。そこで一番衝撃を受けたのはやはりスターレスでした。
King Crimson - Starless (OFFICIAL)
コン城:この曲と出会ったために、作るアルバムや重要な曲はとにかく壮絶な終わり方をしなければならないと強烈に刷り込まれました。ここでもそれでプログレッシブロックを徹底的に掘り下げはしませんでした。イエスやピンクフロイドも触れましたが全てではありません。危機と海洋地形学の物語、夜明けの口笛吹き、狂気、ザ・ウォール。キングクリムゾンも69年~74年までをとにかく愛聴していました。
―それは今でも残っていますね。Mahoramatic Non-fictionは3曲とも散り際が限界突破しています。
コン城:こうして時代の流れから見てみると、大学時代に作っていたものはずっと上塗りされてきたものを形にしていました。ゲーム音楽からの影響に、体現者としてのロックが上塗りされ、壮大なドラマとしての曲進行というプログレッシブロックが加わった。そこにSYSTEM OF A DOWNからの影響で、自分が社会に音楽を投下する意味を考えた結果、「企業という永続機関の存続のために犠牲になる人間」。それをTHE MARS VOLTA的に呪術的な詩によって「半抽象化された」虚構と現実の狭間から導き出される真理を描こうとしていました。
グラ城:廃盤にしてしまいましたが、1stアルバム「高品質・低価格な平和の代償」2ndアルバム「PANDEMONIUM PANDEMIC」はまさにそれでしたね。
glowdefectivesoldier.hatenablog.com
コン城:これは自分の名前を名義にして打ち出すうえで、THE MARS VOLTAのOmar Rodriguez-Lopez、SYSTEM OF A DOWNのSerj Tankianのソロアルバムからの影響が強いですね。自分自身を見つめる事、そして自分と社会(外部)との関係性を強く意識して制作しました。
Omar Rodriguez-Lopez — Old Money
Omar Rodríguez López - Xenophanes
Elect the Dead - Serj Tankian, Álbum completo
―ずっとBANDCAMPで聴けるようにしていましたが、これからのEPに注目して欲しいとのことで、以前の楽曲はずべて削除しました。初めて訪れた人は選択肢が多すぎると退いてしまうので。ローリングストーンズを今から聴き始めようとしてもアーカイブが巨大すぎて手が出ない。そんな自分と照らし合わせての決定でした。
コン城:そう考えると、今回からのEPはこれまで自分を作ってきたあるゆる要素を一旦、並列にフラットに置き直して精査した上で、つまみ上げたものが形になったように思います。ギターという最大の武器を使用不能になって、それでも作ろうとした本能によって生まれた生存本能だったと思います。
グラ城:極端な才能は極端な環境によって生まれる。10年以上1本で共に歩んできたSGと決別して辿り着いた進化なんですね。
コン城:でも新しい何か、というよりは元々自分に備わっていたものですね。SGはまだ手元にありますよ。一生捨てる事はないでしょうね。相棒ですもの。
Instagram post by Glow Defective Soldier • Jan 30, 2017 at 3:48am UTC
― これまでの流れから完全に地続きでありながら、完全に決別してまったく新しい側面から見始めることが出来るEP。その始まりがMahoramatic Non-fiction。これを読んでこの一連のルーツに読者の方とシンパシーを持てれば幸いです。さて対談企画本当の後編はアルバム制作終了から、復活までの心の変遷を辿って行きたいと思います。今回はコン城さんにスポットを当てましたが、次回はグラ城さんにスポットを当てていきます。
後編に続く。。。
Comming soon!!
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ではでは。
ε(*´・∀・`)з゙βуёβуё”ε(´・∀・`*)з