魅力再発見!!【Mahoramatic Non-fiction】対談企画「前編」製作過程での想いとコンポーザー・グラフィックデザイナーとしての立ち位置

 予告通り「Mahoramatic Non-fiction」の対談企画を掲載させて頂きます。長くなりましたので、前・後編に分けてお送りさせて頂きます。

 

 前編の今回は、主にEPの成り立ちについて語りました。既にブログで投稿した内容と被る部分もありますが、それでも語られなかった部分にもスポットが当たっています。

 

 まずは過去記事を貼っておきます。

glowdefectivesoldier.hatenablog.com

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登壇者それぞれが思い思いに語っています。それではどうぞ。

 

 

 

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―では初の対談企画となります。5枚綴りのEPの1作目の「Mahoramatic Non-fiction」リリース1周年となりました。今回はその魅力再発見と題して、お二人にはより深く自由に語ってもらいたいと思います。

 

 

 

コンポーザー城台(以下、コン城):よろしくお願いします。

 

グラフィックデザイナー城台(以下、グラ城):よろしくお願いします。

 

―この5枚のEPの企画は最初どこから始まったのでしょうか?

 

コン城:それは僕からだったと思います。Mahoramatic Non-fictionを制作する前に、アンビエントのEPを制作していました。それが2017年で、夏には完成間際まで来ていました。本当に完成一歩手前だったんです。ですがなぜかそこで、遊びでもう一曲作っちゃったんです。それが一曲目の「Jyagyawli Makcoled」でした。

 

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Jyagyawli Makcoledが出来て、そういった本腰を入れた本気の曲も作れるんだって気付いた

 

―あまりの完成度に、それまで制作していた楽曲が色褪せてしまったとお聞きしました。

 

コン城:色褪せたというわけではありません。確かに完成度においてJyagyawli Makcoledは頭一つ二つ飛び抜けてはいましたが、まぁ方向性というか、それまでは記録の羅列というか、制作のコレクションを形にしようと思っていました。昆虫採集の標本のような感じを思い浮かべてもらえるといいかもしれません。

 

 

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グラ城:Jyagyawli Makcoledが出来て、何か吹っ切れた感じですか?

 

コン城:元々、ギターが接触不良で音が出たり出なかったりと故障状態でした。それを修理に出す余裕もなく、それでも曲作りがしたくて手元でまだ生きているシンセを使って制作していました。機材が最低限のギリギリだったので、本腰を入れた楽曲は作れないと勝手に思っていたんですね。でもJyagyawli Makcoledが出来て、そういった本腰を入れた本気の曲も作れるんだって気付いたんです。

 

グラ城:なかなかエモいですね。正に起死回生。それまで作っていた楽曲とまるで違うものが出来た要因ってなんだったんですか?

 

コン城:なんとなく、アレハンドロ・イニャリトゥ監督の「レヴェナント」のような曲を作りたいと思ってました。

 


映画「レヴェナント:蘇えりし者」特別映像:Actors Ensemble

 

 

グラ城:坂本龍一さんがサントラを手掛けたあの!!

 

コン城:そうです。でもそこはあまり意識していなかったというか、映画全体の空気感というか、もう一曲作ろうと思った段階ではアンビエント・ノイズの曲を作ろうとしていました。でも作っている途中、「後半をダンスミュージックにしてしまおう」と思い、リズミカルな音を足していったんです。そこからはあれよあれよと名曲が形作られていきました。

 

グラ城:おお、自分で言っちゃいましたね!!

 

―自分が元々大層な人間ではないという出発点から、ふと自分の能力以上のものが発揮された時にそういった感情になりますよね。

 

コン城:さすが分かってらっしゃる。

 

グラ城:それはありますよね。まぁ言っちゃいますけど、この5枚のEPに収録されている楽曲もそうだけど、アートワークやデザインも自分の想定以上のものが出来ていて、それを使用しています。アウトプット毎に自分を更新している感じですね。

 

新しい扉を開いた感じでした。ジャケットはずっとやってみたかった「白」を基調としたデザインを創造していて

 

―アートワークはどのようにして作られていったのですか?

 

グラ城:たしかコン城さんが「Benthend Warrham」を作っている頃から作り始めていたと記憶しています。それまでの曲を全部ボツにして、全く新しいコンセプトでEPを作ろうと走り出していた頃で、2017年の9~10月頃でしたね。

 

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コン城:なんか気持ちが開けたというか、新しい扉を開いた感じでした。ジャケットはずっとやってみたかった「白」を基調としたデザインを創造していて、グラ城さんに投げました。

 

グラ城:僕もその方向への憧れがありました。昔、城台さんがフォトコラージュでやっていたようなカラーは、初めて人に受け入れられたもので、どうしてもその成功体験から抜け出せなかった。それが個性で、ニーズだと踏んでいたんですね。それ故に別のカラーで制作したい欲は強まっていました。その熱を抱えたまま彼は空中分解してしまい、後にはその欲求だけが残ってしまっていた。

 

コン城:小さい熱とともに欲求というか、本能的な部分だけがくすぶっていたんでしょうね。

 

グラ城:その片鱗は以前にもあったんです。オフィシャルサイトにグラフィックデザイナーとしてのお仕事見本としてのグラフィックアートのサンプルを見ると、本来のフォトコラージュアーティストとしての色から脱却したいというか、もっと柔軟に自分の色を捨てられますよ、拘りは状況次第で変えていきますよ。というのが見て取れるんです。

 

コン城:なかなか健気ですね。でも誰もその意図には感付いてくれなかったと。

 

グラ城:うん。Mahoramatic Non-fictionの制作時はまだ前職で働いていたので、写真を切り抜いたり選定している時間がなかったので、以前制作したグラフィックデザインのサンプルから欲しい部分だけを抜き出して再構築したものになっています。

 

 コン城:フォトコラージュアーティスト城台の逆襲って事ですか?

 

グラ城:いやぁ、そこまでは考えてませんでしたよ。あくまでも時短です。それに良質な素材は揃っていましたし、レタッチもある程度済んでいました。後は自分の欲求を形にすることに注力するだけでした。

 

コン城:参考にした作品というか、モチーフはあったんですか?

 

グラ城:AyaBambiのAyaさんがChris Suttonというフォトグラファーとコラボした写真にとてつもない衝撃を受けたのを憶えています。これがやりたい!!って(笑)

 

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コン城:これヤバイですね!!

 

 ―凄い(驚嘆)。Mahoramatic Non-fictionのどの辺に影響が見られるんでしょうか?

 

 

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グラ城:結果的には自分の持ち味しか残っていません。ですが創作意欲というか衝撃をもらいました。これがなかったらジャケットはああはなっていなかったかもしれない。やりたいという思いはありましたが、女性を大胆に使うなんてこれまでやってきませんでした。めちゃくちゃ背中を押してもらいました。

 

コン城:仕上がっていく様を見ていて思いましたよ。ヤバイ。この曲達の受け皿がこれかって(笑)

 

グラ城:Benthend Warrhamはノイズでギャンギャンに突っ走ってましたもんね(笑)でもジャケットが陽性だと、不思議と楽曲も陽性に捉えられる印象があります。何というか「スポ根」の精神を感じられるというか...。

 

ーおっ「スポ根」というワードが出てきましたが、Mahoramatic Non-fictionを制作するに当たり、明確なコンセプトがありますが、これはどのようにして構築していったんですか?

 

コン城:・・・それはあなたが語るべきでは?(笑)

 

 グラ城:確かに(笑)

 

―今回は進行役に徹したいのですが...。そうですね。お二人に話しを伺い、まとめるのが「トータルコンセプトプランナー城台」の務めの一つですものね。いよいよごっちゃになるので私は名前なしで太字のままで進めさせて頂きます。

 

コン城:相変わらずメタ発言が過ぎますね。

 

―以前ブログにも書きましたが、当時城台は29歳で、師匠から「30までには生まれ変わらななぁ」と言われていました。当の本人もそれに乗っかっていて、いかにして生まれ変わるか、脱皮できるかを模索していました。そんな折、ライフワークとして制作していた楽曲が新たなステージに行き、それまで抑えていたアーティストとしての側面を開放することによって、全ての事柄が前向きに動き出すのではないかと思い、躍起になっていました。

 

コン城:「Leoryphan Vistavkifco」が出来上がった経緯には2つあるのですが、その内の一つは確実にこれでしょうね。

 

グラ城:もう一つは何だったんですか?

 

コン城:それはいつかお話しするときが来ればいいな、とは思っています。今はまだちょっと無理です。

 

グラ城:なるほど。その時が来るのを待ってます。

 

―仕事がロクでもなかったにも関わらず、部屋で一人自家発電していた。こう言うとかなり終わった奴なんですが、なんか信じてんですよね。

 

グラ城:いわゆる完全燃焼の先のというか、大学で部活やサークルで燃え尽きて就職してまっさらな状態から1から始めるというような感じではありませんでしたもんね。

 

 ―仕事内容ではなく、人で選んでましたね。「この人に付いていこう」と。でも最近思うのですが、2番手っていうのは「いい意味で目的がない人」が向いていると思うんです。だけど一方で、こうして欲しいという要望には2つ返事でやってしまう才能というか。

 

グラ城:最近いつだったかtwitterに投稿してましたね。お笑いで例えるとラーメンズバナナマンキングコングオリエンタルラジオ。1人がネタを書いて、もう1人はひたすらそれに順応する。普通は無茶振りと思われることでもすんなりやってしまう才能。そういった人が2番手に向いていると。

 

―そうです。そしてそれがマッチングしたコンビは最強だと言えるんですね。で、自分と師匠はそうなれなかった。城台の方にもやりたい方向性があった。完全燃焼させなかったが故に、消えていなかった火が燃え始めてしまったんです。

 

グラ城:火の用心のポスターに使えませんかね。この感じ(笑)

 

―説明臭くなりますよ。デザインの風上にも置けない(笑)

 

コン城:さっきから聴き手と話し手が逆転してません?

 

2人:それ!!

 

コン城:対談企画なのに鼎談になってますね。

 

一同:(笑)

 

「互いの貢献によってその世界や関係性を維持していきたい」という始まりの一歩。コンセプトを一言で表すなら「自覚」

 

―話しを戻しましょう。えっと「やってやるんだ」という思いが芽生えました。そしてEPのタイトルが「Mahoramatic Non-fiction」になりました。本当に生かされているだけでしたからね当時の城台は。それを自覚し、「互いの貢献によってその世界や関係性を維持していきたい」という始まりの一歩。コンセプトを一言で表すなら「自覚」ですね。

 

グラ城:ジャケットを「白」や「光」をテーマにしている点とも合致しました。単純にグラフィックアートワークとしてもタイトルをMahoramatic Non-fictionにしても違和感のない統一性というか納まりの良さを感じています。

 

コン城:良くも悪くも、何も成し得る事の出来ない奴に残された道は「スポ根」という事ですね。お二人がコンセプトとアートワークを形作って下さったおかげで俄然やる気が出ていました。マリオがスター獲ったときのモードになってましたね。

 

―Leoryphan Vistavkifcoはそれが出ていますね。何であそこまで奇跡を積み重ねられたんですか?

 

コン城:あの曲は本当に不思議な曲で、かなりすんなり出来ました。当初は6曲構成で、5曲目に位置する予定で、「シングル曲」というかリード曲になるようなものにしたいな、それを5曲目に当てはめたいなと思ってました。大きくやり直したのはドラムを一度全部やり直しました。自由に叩きすぎて展開の割り振りがまるで出来ていませんでした。本編にドラムソロがありますが、最初のドラムは全編ドラムソロ状態で(笑)

 

―収拾がつかなかったと。

 

コン城:そうですね。それで「これはヤバイ」となって録り直したんです。そしたら非常にいいテイクが録れて、そこからはいい感じに音が乗っかっていって完成しました。MTRのトラックを全て使うことなく、20トラックぐらいかな。まだ音を入れようと思えば入れられたんですけど、いい意味で腑に落ちてしまったんです。

 

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コンセプト、楽曲、アートワークが三位一体で形になってここまで説得力を持たせられる強さを持ったものは、これまでで初

 

―それって本腰を入れて作る曲では初めてだったんじゃないですか?

 

コン城:そうですね。今まではトラック数が足りなくて、この時間には何も音は入ってないからここに捻じ込んじゃおうと無理矢理音を入れていました。最初は軽い気持ちなんですけど、最終的にミックスで自分の首を絞めることになるんです。

 

―今回からやたらミックスには苦労したと伺いましたが。

 

コン城:以前はあまり気にしていませんでした。パン位相(音の左右のバランス)を動かすぐらいで、あまり大きく音量とかも動かしませんでした。でも「この瞬間はこの音を際立たせたい」という部分をほんのちょっとだけ上げてみると、劇的に曲の表情が活き活きしてくるんです。これは始めての経験でした。これまでミックスを舐めてました。それで何度もテイクを重ねて最高のミックスを目指していました。

 

―なるほど。ギターを使わない以外にも変化はあったんですね。

 

コン城:Jyagyawli Makcoledはもう2度とやりたくないですね(苦笑)そしてもう2度と出来ないでしょうね。思い返してもなんであんな風に出来上がったのか思い出せないんです。トラックの中に音が入れ込まれ過ぎていて混沌としていたので。よく成立させたなと思います。スポ根だったんでしょうね。

 

グラ城:3曲ともそれだとかなりしんどいですね。

 

コン城:いやそれがLeoryphan Vistavkifcoに関してはこれまたそうではなくて、かなりすんなりいきました。2~3回ぐらいだったと思います。どうかな、と聴き直していると、「あれ?これでいいんじゃないか?」て。何から何まで偶然なのか必然なのか。

 

―やはりLeoryphan Vistavkifcoは持ってますね。

 

グラ城:何となくなんですが、ジャケットの表面がJyagyawli Makcoled、Benthend Warrham。裏面がLeoryphan Vistavkifcoのようになっている気がするんですよ。どうですか?

 

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コン城:あなたがそう言うならそうなんでしょう(笑)確かにLeoryphan Vistavkifco感が出てますね。曲もそうだし、名前の綴りや響きからも共通性を感じます。

 

―我々ってこういう偶然の一致が多いですよね。

 

グラ城:偶然の一致というか、目指す場所を決めて全てがそこに向かっているので。それを同じ目線で測るから共通した部分が見えてくるのかと。

 

コン城:さすがデザイナー。好き勝手やらせてもらっている僕なんかとは考え方が違いますね。

 

―コンセプト、楽曲、アートワークが三位一体で形になってここまで説得力を持たせられる強さを持ったものは、これまでで初だと認識しています。それがどんどん大きくなって5枚綴りのEPになり、その先でアルバムが生み出される。8年越しぐらいにようやくすべき事が見えてきましたね。そのための大事な出発点であるMahoramatic Non-fictionなので、さらに深く掘り下げていきたいと思いますので、お二人とももう少しの時間お付き合い下さい。

 

コン城:あっちょっとGarapagositic Lupin-keyのレコーでぃ――

 

グラ城:(叩く)

 

後編に続く。。。

 

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Mahoramatic Non-fiction

01.Jyagyawli Makcoled 5:28

02.Benthend Warrham 3:57

03.Leoryphan Vistavkifco 5:14

total time 14:41
Glow Defective Soldier Records 014

 

 FREE DOWNLOAD

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「CD無料配布とEP連続リリースによる今後の展望」Glow Defective Soldier 城台 宏典インタビュー

 

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ではでは。

 

 

ε(*´・∀・`)з゙βуёβуё”ε(´・∀・`*)з