囚人には聴こえない音で一杯の空間。円陣を組む猿人の群れには目もくれない。束の間の休息が終わり、立ち上がるその時には誰もいなくなっている。空虚である筈の情景が、あたかも賑わいを見せている大通りの一角を思わせる色彩を放ちながら、いそいそと動き回るフェレットをこちらによこした。用意した題材には一切手を付けずにいた。電池はゆっくりと役目を終えた。何時の間にか十分遅れになってしまった掛け時計。重心は常に下を向いていた。飛び跳ねるという行為は地面に重心をかけて投げてもらう優雅なる遊び。子供たちは遂に宙を舞った。避雷針に救われた命は、確立の稀少さを肌で感じる事なく終わりを迎えるのだろうか。記憶は人生の半分にも満たない脆弱な走馬灯。非行は奇行というレッテルによって痛烈な非難と共に統制のシンボルを浮き彫りにした。指先に秘めた声の行く先を追いかけるべきだと男は少女に口添えした。紙飛行機は燃えた。それでも尚飛び続けると言う事は、引火すべき敵の姿を探しているのだろうか。勢いよく燃え上がるお前の敵は、お前の愛する者にしがみ付き、お前の目の前で絶望的で凄惨な情景を生み出すだろう。悲観した所で、お前は既に首根っこを強く締め付けられている。男と少女は同じ場所を見つめながら燃えている。それは自分の感覚から既に十分過ぎた先の出来事。