誰に言われるでもなく、今年のベストアルバムを書く。今年買った新譜はこんな感じ。


ちなみに旧譜


その中(新譜)で特に凄かった5枚を挙げる。


第5位
Battles:Gross Drop

 中心メンバーであるタイヨンダイ脱退後に製作されたアルバム。前作が発表されてからやけにタイヨンダイばかりが賞賛されていたが、そもそもこのバンドは4人全員が凄い存在だったのだという事を知らしめたアルバムなのではないかと思う。シンバルの高さとか半ばどうでもいい。3人がしっかりと結束し、一つの塊となっているのが音に表れている。

Gloss Drop [アナログ盤 / DLコード付 / 2LP] (WARPLP212)

Gloss Drop [アナログ盤 / DLコード付 / 2LP] (WARPLP212)


第4位
A Storm of Light:As the Valley of Death Becomes Us Our Silver Memor

 ジョシュ・グラハムを中心としたドゥームメタル。これまでのアルバムは、アートワークやLPの盤色等にも力を入れた総合アート物的なものを作っていた感があるA Storm of Lightだが、今回は違う。音に比重を置き、ロックアルバムを作ってしまっている。昨年再結成したサウンドガーデンのギターの人が参加しているらしく、その時出したベスト盤でアートワークを担当した縁だろうか、ギターソロ弾いてる。曲間のサントラ展開が鳴りを潜め、曲だけの構成で勝負している。このバンドはテクニックとかではなく、なにやら悲惨な人生を歩んできた人間にしか出せない、絶望を疑似体験させる妙な説得力と凄みを持った点が魅力であるが、今回もそれがよく滲み出ている。

As the Valley of Death Becomes Us Our Silver Memor [12 inch Analog]

As the Valley of Death Becomes Us Our Silver Memor [12 inch Analog]


第3位
Mastodon:The Hunter

 前作があまりにも名盤過ぎて、次がどう展開されるのかと思っていたら、結構ストレートなもので攻めてきた。炎・海・大地・空とこれまでコンセプトを持ったアルバムだが、今回は人間?その辺はよく分からないが、誰か近親者の死が楽曲内に反映されいるらしい。音や声に抉る様な哀愁が内包されているのはその表れか。LP2枚組みのほうにだけ、ボーナストラックが入っているが、折角のいい終わり方に水をさす入り方をしている。いい曲ではあるんだけど、そこはあかんだろうと。

Hunter [12 inch Analog]

Hunter [12 inch Analog]


第2位
上原ひろみ:VOICE

 奇跡のアルバムSpiralから、ソニックブルームをやり、ソロでやり、またトリオで作ったアルバム。そこにはトニーグレイもマーティンヴァリホラもいない。まったく新しい体勢。30代にしてさらに音域を広げる。それは一種の恐怖体験。今年よく思っていたのは、「上原ひろみとワンピースはそっとしといてくれよ」だった。この2つは今のままで充分いいものが作れている。変に押さないでくれ。自然体こそ自然。不自然である無かれ。

ヴォイス(初回限定盤)(DVD付)

ヴォイス(初回限定盤)(DVD付)


第1位
Laid Back Ocean:夢の修理屋

 何年も待ち続けたカタルシスが破裂する。Jelly→が解散し、結集したバンド。彼らは呪われている。いつも何かを手にしてはそれを失っていた。それでも幾度となくそれを打ち負かし、バンドを継続させてきた。そして遂には壊れてしまったバンドから、夢の修理屋という名を冠して産み出されたアルバム。その苦難は音に言葉に反映され、真摯に突き進むエネルギーとなり、また人々を包み、癒す力ともなった。故にその優し過ぎるアルバムは、日常生活に支障をきたす為、あまり沢山聴いていない。それでも、心の中では大事な存在として留めておきたいもの。

夢の修理屋

夢の修理屋


こんな感じです。特記事項として、彼のアルバムを。
Omar Rodriguez Lopez:Un Escorpion Perfumado

 今年1番よく聴いたアルバム。ただし、45回転早回しという違反行為でだった為、特記事項扱いに。そして、今年正式に出た唯一のアルバムについて。
Omar Rodriguez Lopez:Telesterion

 4枚組みのLPと2枚組みCD。久しく両フォーマットでの購入。今年はこれしか出していない。リリースはしないけど、製作をやめる人間ではないので、きっと日の目を浴びないアルバムが大量に生み出されたことだろう。来年は容赦ないリリースを期待。