目の前に高く聳え立つ壁。茶色い壁。台形の壁。仰ぎ見ているのではなく、正面にそれはあった。一段一段穴が空いている。横向きになった跳び箱だ。
 助走をつけるために離れている。だから実際の大きさが分からない。跳び箱の先もどうなっているのか見えない。「跳んでごらん」という声あり。「向こう側にマット敷いてあるから」迎える準備は出来ているそうです。だから下手な落ち方をしても痛い目には遇わないはず。これ程の厚待遇に、何を戸惑う必要がある。