対談企画「Garapagositic Lupin-key」のすべて
—Garapagositic Lupin-keyの対談企画です。今回は魅力再発見と題しての振り返りではありません。1から皆様にこの4作目のEPの魅力をお伝えさせて頂きたく思います。
Youtubeにて本編動画と、過去に制作した母体となるCllapse the Evilwayの動画も公開していますので、併せてお楽しみください。
コンボーザー城台(以下、コン城):どこから話しましょうか。このEPはこれまでと違い、Mahoramatic Non-fiction以降に暴発したアイデアとは少々異なり、ずっと前から抱えていて、形にならずにいた楽曲を完全リニューアルしたものとなっています。
グラフィックデザイナー城台(以下、グラ城):全て話しましょう。この一回で。事の始まりは2010年です。まだグラフィックデザイナー城台が誕生する前ですね。
コン城:という事は前史については私が全て語らないといけませんかね。
グラ城:そうですね。お願いします。
コン城:自身2枚目のアルバム「PANDEMONIUM PANDEMIC」を2010年の6月に完成させ、そこから誰に聴かせるでもなく、ただただ個人的にアルバムを量産している時期がありました。期間にして2〜3ヶ月程度なんですが。
その中でいい感じの曲をがいくつかあって、それらを組み合わせて、「Scissorcuts Reunion」という曲にしてリリースしました。
それとは別に1曲だけ、他とは馴染まずに孤高の存在感を発していたものがありました。それが「Collpse the Evilway」の第1作目になります。その曲自体の完成度が高かったというよりも、ほぼその場のアイデアだけを殴り書きしたようなものであったにも関わらず、同じフレーズやベースラインを基に脳内ジャムセッションを繰り広げていると、いくらでもアイデアがでてくるな、と。
グラ城:可能性を秘めていたわけですね。
コン城:そうですね。リーマンショック直後の就職活動のクソ過ぎる現状から脱して大学を卒業した城台は、どうやって生きていこうかを考えた結果、楽曲制作そのものよりもコンセプトアルバムを作り上げるというプロデュース的な側面の方に面白さを感じていました。なので音楽では到底食えていけない現状に対し、グラフィックデザイナーとしてアートワークを作ってそれを提供していく人間になろう。と思いました。晴れてグラフィックデザイナー城台の誕生です。
グラ城:大学時代はレコード収集で多くのアルバムアートワークに触れました。特にストーム・トーガソンやロジャー・ディーンからの影響が強く、当時はThe Mars VoltaのOmar Rodriguez Lopezのソロアルバムのアートワークを多く手掛けていたSonny Kayを目指してやっていました。
William Roger Dean - Bing images
こうして楽曲制作からグラフィックデザイナーとしての道にシフトチェンジし、活動していくこととなります。
その最中にアルバイトを始めます。いよいよ実家からの仕送りが止まるという事態になり、生活費プラス活動費を捻出しなければならない状況となりました。
そのアルバイト先が、これまでのブログに何度か出てくる師匠との出会いになります。
コン城:なかなかのクズっぷりだったわけですね。
グラ城:さらにクズな事をここで書かせて下さい。グラフィックデザイナーとしての道を歩み始め、アルバイトを始めて自分一人になって2週間程して、2011年3月11日を迎えます。
当時は自分一人生かすのにやっとの状況で、テレビは持っていましたが見てもいませんでした。それでも何か漏れ聞こえてくる情報を遮断していました。日本が大変な状況にあった事を実感するのはその年の年末に実家に帰ったときに見た特番ででした。当時は人を気遣っている場合ではなかったんです。
そんな生活の中で、次のアルバムのアイデアが出てきました。「Albino Morning Dream」です。これまでは社会への警鐘、そんな社会に生かされている自分への自虐をテーマに制作したアルバムに続くテーマが、「それでも続く人生」でした。
アルバイトと制作と、それを外に出していくという生活の中で、眠りの時間が何よりの救いで、その眠りの中から目覚めてまた今日を生きるというストーリーになっていました。
「白化してゆく朝方の夢」という意味で、その手に取る事の出来ない幸福な時間への希望に焦点を当てていました。
コン城:9曲構成で、当時3〜5曲目までは作ったんですよね。その中にCollpse the Evilwayがありました。それが2013年版です。
Collapse the Evilway [2013&2010]
ちなみに1曲目と9曲目はイントロとアウトロとして、タイトルが「White strings」「Red strings」でした。この2つはMahoramatic Non-fiction制作前に作っていたダブルEPのタイトルに受け継がれていました。
グラ城:グラフィックデザイナーとして、またフォトコラージュアーティストとしての活動の傍ら、このアルバムを形にしようとしていました。これまで楽曲制作の面では誰からも相手にされてこなかった過去とは裏腹に、少しずつ評価を頂く場面が増えていきました。
よりスゴいものを見せたい、もっと上があるはずだとどんどんフォトコラージュの制作に重きを置いていきました。その結果、楽曲制作に割く時間は削られていきました。
フォトコラージュ作品としてのAlbino Morning Dreamは、実際にコラージュで使用した写真全てを一緒に展示して、現実と夢の相互関係を現したような、独自の展示方法に帰結しました。
glowdefectivesoldier.hatenablog.com
その瞬間、アルバムとしてのAlbino Morning Dreamの構想はボツになりました。出来上がっていた3曲も、Collpse the Evilwayだけフリーダウンロードで公開して、お蔵入りとなりました。
そうしてグラフィックデザイナーとしての活動を活発化させながら、ライブペインターとしての顔も持つようになりました。そこから活動を続けながら行き詰まり、ずっと働いていたアルバイト先で料理人の道を歩み始めます。
それまでの活動を全て投げ打ち、必死で作り上げた作品集の在庫を200部捨て、ライブペインターの原画も捨て、手元に残ったわずかな売上金は包丁を買う資金に充て、何も残らない状態になりました。
コン城:数年間音沙汰がなかった状態が続いていた頃、城台は何も開花させることができずにいる時期を過ごします。その中で、何でもいいから自分の記録として制作したものを残したいと思うようになり、絵画制作などに傾倒します。
しかし時間を多く割けるものではなく、あくまで気分転換に近い作業だったために、満足いく仕上がりのものは出来ませんでした。時間をかけないから上手くいかない、それだけではなく、これまで培ってきたものそのものが自分の中から無くなっていってしまったような感覚で酷く落ち込みました。
その頃からというか、これまでずっとアルバムを作りたいという思いはありました。就職活動をせずに道無き道を歩き始めた自分が、何者かになるには、芽が出ないものは切り捨てないといけない。そう思って楽曲制作から手を引きました。
もし時間が無限にあるなら、もし自分の部屋だけ外の世界よりも5倍のスピードで進むような空間なら、もし精神と時の部屋に入れたならアルバムを作っていたかもしれない。すべて仮定の話しで、何かが動き出すこともなく過ぎていきました。
そんな妄想だけの期間に思いついたアルバムのアイデアがあります。タイトルが「Lupin key」です。Collpse the Evilwayは「崩壊する悪魔の道」という意味があります。なんでこのタイトルになったのか、正直思い出せません。しかし、2013年版のCollpse the Evilwayは構築美に傾倒し過ぎていて、むしろArchitected(建築)the Evilwayなんじゃないかと思っていて、本当の意味でCollpse the Evilwayする曲を作りたいと思っていました。それを可能にするのが、扉をこじ開けるルパンキーだと。
—やっと本題に入りそうな流れになって来ましたね。
コン城:はい。相変わらずCollpse the Evilwayのフレーズを使った脳内ジャムセッションは続いていて、形にしたいものはありました。ただやはり時間がなくてこのアイデアも風化していきました。
まとまった時間が取れないから技量を要する曲に取り組むことができない。お茶を濁したような行為でしかなく、たまにいい曲ができはするけれど、進歩のない日々が続く。そんな中でなんとか完成間際にまで持ってきたのが、先述のダブルEPです。
—その後に心象模様を一変させる曲が出来上がるわけですね。
コン城:Mahoramatic Non-fictionのJyagyawli Mackoledが出来上がります。そこで「小さくても短くてもいいから本物を作ろう」と意識が一気に反転しました。
グラ城:そこから数珠繋ぎでストーリーを紡いでいきました。5つのEPタイトルを弾き出していく中で、最後に出てきたのがこのGarapagositic Lupin-keyです。タイトルの前半は〜のようなを意味する「tic」を使い、後半は間にハイフンを入れる構成。この後半の言葉が思いつかず悩んでいたところ、「ルパンキーあんじゃん」と閃いたことによって晴れて採用となりました。
Garapagositicも全く出てこなくて、5つのタイトルの内、真ん中に位置するAIDMAtic live Rain-bowは特殊な構成として、DramasochisticとBugfarewellticが2語をくっ付けたもの同士で対にになるようになっていたので、Mahoramaticの1語と対になる言葉を探していました。そこでEPのコンセプトを掘り下げていく中でガラパゴスを見つけました。
すべての個性は他者との差異によって価値が生まれる。つまりすべての個性はガラパゴス化していると。人と違って何が悪い。人と違っていればいるほど価値がある。AIDMAtic live Rain-bowの物語の中で、邁進する意志に対して安全でいられる傘は必要なくなり、破壊した傘からルパンキーを手にする。その自信や確証は個性を裏付け、何者にも変え難い価値になる。
Garapagositic Lupin-key。「ガラパゴス化した様な鍵」。決まった扉の鍵穴に綺麗にハマるものではない。けれど誰かの心をこじ開ける掛け替えのない個性になる。このEPはその証明です。
コン城:前作のAIDMAtic live Rain-bowが20分30秒なのに対し、このGarapagositic Lupin-keyは9分51秒です。無謀な旅の道中で得たものが自身の中で鋭利な個性となって形になる。そんな思いで収録時間をギュッと縮めて半分以下になっています。また、Architected the Evilwayから真のCollpse the Evilwayを作るときは9分台の曲にしたいという漠然とした構想がありました。なのでGarapagositic Lupin-keyとして最も腑に落ちる時間として9分51秒を算出して、そこにバッチリ落とし込みました。
—相変わらず楽曲制作における力の入れどころがズレてますね。
コン城:これまではそうでしたが、今回はそれだけではどうにもならない部分がありました。なんと言ってもこれまでのCollpse the Evilwayはギターサウンドが中心になって作られていて、現在はSGがレコーディング上ではリタイア状態です。ギターでやっていた部分をいかにして再現または補うのかが課題でした。
ただやるだけでは意味がなくて、これまで2回制作したものから引き継ぐ部分と発展させる部分を明確にして、はっきり進化した事を提示しなければならず、それが出来て初めて新しい要素を組み込めるんですよね。
Collpse the Evilwayを3度目として意識して制作したのは2曲目と3曲目のC'njaka Evseco(クンジャカ・エブセコ)とSanubis tavay DA Garacoron(サヌビス・タバイダ・ギャラコロン)になります。この2曲で第3期Collpse the Evilwayになります。
1曲目のDiaderil Kronuo(ディアデリル・クロヌオ)はCollpse the Evilwayの発展形とも取れますが、ストーリー上は「安全でいられるための傘を破壊する」ルパンキーを手にする瞬間を表しています。Collpse the Evilwayから引き継ぐ要素が少ない事と1曲目に配置される事で「予兆」を感じさせる様なものになりました。
実際の制作は2曲目3曲目を同時に作り上げてから1曲目を作る。という流れでした。EP自体10分未満の構成にするため、という事もありましたし、1曲目は2分台のものにしたいという思いもありました。最初に着地点を作り上げてから導入を作るという制作方法でした。
コン城:2013年版を作ってから脳内ジャムセッションを繰り広げていたときに考えていたのは、常にバシッと終わるものでした。これまでの2作は同じベースラインに沿いながらフェードアウトしていく構成でした。
実際この最後のベースラインが脳内ジャムセッションでも肝になっていて、次に作るときは最後だけじゃなくて全編に散りばめようと考えていました。Collpse the Evilwayを象徴するフレーズはいくつかありますが、ラストのベースラインは特別印象に残るものでした。
最初にCollpse the EvilwayをEPの中でリブートさせようと考えたのはしょうもない理由なんですが、曲自体のアイデアが恐らくそんなに沢山出てこないだろう、という予感からでした。
頭にストックしてある創作アイデアは実質Collpse the Evilwayしかありませんでした。脳内ジャムセッションでは到底自分では再現出来ない演奏のオンパレードで風呂敷を広げるだけ広げていました。
ダブルEPを作っていた時はあくまで機材との対話の中で生まれたものでした。使えるアイデアは使っちゃおうというものでした。Mahoramatic Non-fictionを制作中も「このテンションは長く続かないだろうな」とも思っていました。
けれどもそんな感情とは裏腹に5枚のEPを作ろうというアイデアは閃いてしまい、進めていく事になりました。始めた当初は数年のスパンで見ていました。まさかこれらが後に独立後の企業理念にしようなんて考えてもいませんでしたからね。あくまでも仕事でクソっぷりを発揮している自分を何とか奮い立たせるためのもの、と位置づけていました。
—なるほど。実際に仕上がった第3期Collpse the Evilwayはいかがですか?
コン城:正直、最高としか言いようがないですね。ここまで手応えを感じているのも、もしかしたら初めてかもしれません。元々あったアイデアを発展させたからこそのものでもあるし、収録時間を意図的に短くしたのも良かったのかもしれません。
制作自体も思い返してみるとすごく早かったんですよね。昨年の12月にスタートしましたが、年内に2曲目3曲目が完成して、1月にはすべての作業が終わっていました。あまり悩まずにいけいけドンドンでしたね。
遂にはラスト40秒で完全に別のステージに足を踏み入れた感覚がありました。Collpse the Evilwayがようやく本当の意味でCollpse the Evilwayした瞬間でした。
グラ城:これまでCDの無料配布はMahoramatic Non-fictionを基本的にお渡していましたが、Garapagositic Lupin-keyを最初にお渡しする事が多くなりました。現在進行形の到達点ですね。
コン城:でも同時にCollpse the Evilwayはまだ終わっていない感じはあって。自分が曲を作り続けていくに当たって、永遠に側にあり続ける曲だと思っています。これまで何年も脳内ジャムセッションを繰り広げてきました。当然そのアイデアすべてをGarapagositic Lupin-keyに入れ込めたわけではありません。
気が早いですが、また次にアルバムをつくる機会があったなら、きっとCollpse the Evilwayは別の形でもう一度作る事になると思います。
例えるなら、Going Steadyや銀杏Boyzの銀河鉄道の夜、
Omar Rodriguez LopezやThe Mars VoltaのJacob van Lennepkadeのようなものだと思っています。常に変化を繰り返し発展を続ける存在であってほしいですね。
Omar Rodriguez-Lopez - Jacob Van Lennepkade
The Mars Volta at Vegoose 2006
The Mars Volta live video, Cedric trashes Sasquatch 08
Omar Rodriguez Lopez Group - 1/6 - Jacob Jam
—なるほど。楽曲についてはある程度の取れ高がありました。アートワークについてはどうですか?
グラ城:こちらも掛け値無しに最高の出来と自負しています。元々裏面を表にするつもりで制作していました。後から表に持ってくるべきアートワークが生まれて、奇しくもタイトル同様アートワークもDramasochistic Bon-voyageと対になっています。
上に挙げたストーム・トーガソンやSonny Kayの影響をモロに前面に打ち出そうと考えていました。またアレハンドロ・ホドロフスキーやスタンリー・キューブリックの空気感も出したいなと思っていました。要は昔影響を受けたものをオマージュ的に形にしようと。それらをただ羅列してもごちゃごちゃになるので、勿論統制は行います。この統制された部分が自分のオリジナルになると思って制作しました。
壊れた傘やルパンキーといった明確なモチーフが入っているのも意外と初めてですね。これは台風の翌日に道路に落ちていたものを持ち帰ってヘシ折ったものですね。
表のアートワークになっているものも明確にテーマがありますね。ルパンキーを提示して前に進む。上流から大量のダルマが流れてくる。社会の中で敗北したあらゆる夢や願いの残骸です。誰のどんな夢か分からないダルマは両目が白目です。その中で一つだけ片目を塗られたダルマが流れている。これは過去の自分です。道半ばで歩みを止めた自分の夢や願いが束の間、垣間見えるそんな意味合いを込めました。
それでも尚進むと決めた。その覚悟を投影させ、過去への謝辞と賞賛を併せ持った。過去と現在の統合、未来への躍進が詰まっています。
—わかりました。最後に恒例の参考音源や影響を受けたものを挙げて頂けますか?
グラ城:まずアートワークも音楽そのものも多大な影響を受けたというか、思いっきり寄せたものがあります。The Mars VoltaのThe Bedlam in Goliathです。
中身のテンション感も去ることながら、Garapagositic Lupin-keyの裏面ジャケットのカラーリングが無意識の内に寄っていたんです。さらにThe Mars Voltaとして4枚目のアルバムで、今回4枚目のEPを作ろうとしている自分に変なシンパシーを感じて。個人的にもThe Mars Voltaは人生でナンバー1のバンドなので、このバンドは解散したり、再結成するかもという話しになっていたりです。正直最盛期は過ぎてしまっています。当時の最高の状態から溢れ出るエッセンスを受け継ぎ、未来に発信する役割になれるかな、なんて思っています。
コン城:Diaderil Kronuoを2分台の曲にしようと思ったときに真っ先に頭に浮かんだのはこのアルバムに収録されたWax Simulacraです。
The Mars Volta - Wax Simulacra on Letterman 2008
一番ガッツリ参考にしたのはこのアルバムですが、実際はすべてのアルバムというかThe Mars Voltaの歴史そのものを参考にしています。Diaderil Kronuoのイントロは結成初期〜1stの音像を意識していますし、本編は1st〜2ndに見られるプログレッシブでありラテン的である側面。3rdのスピリチュアルな出で立ち。そこに6thのエレクトロミュージック的なダンスミュージックの要素も取り入れ、5thで垣間見せた透き通る抱擁感に包まれる。
これをギターなしで再現するという挑戦がありました。人生で一番長く聴いたバンドです。身体に染み付いて一生取れないまでになっているはずです。一切隠すことなく全方位から解放させました。
すべてのEPと楽曲に共通していますが、全編通してドラムを叩きまくっているのはThe Mars Voltaの影響以外の何者でもありませんね。あとエフェクトノイズがガシガシ鳴っているのも。
ノイズはメロディを際立たせるために、または相乗効果で上昇気流を作り上げるためのものなんだって事を学びましたね。そこに全力で叩きまくるドラムが加わって未開の地点まで登り詰める事が可能になる。私の音楽哲学はThe Mars Voltaによって形作られています。
—The Mars Voltaはこの対談企画でも幾度となく登場しますね。それ以外で影響を受けたものは何ですか?
アルカラ -LIVE DVD 『20180127~KAGEKIにやってくれないかチュアー~』- トレイラー
コン城:アルカラのKAGEKIはデカイかも知れませんね。特にHERO、きりぎりすのてんまつ、箱の3曲はずっと聴いてましたね。参考動画等が見当たらなかったのでライブ映像で雰囲気をつかんでください。
THE BACK HORN - 『ALL INDIES THE BACK HORN』 全曲ダイジェスト音源
The Back HornのAll Indies The Back Hornも参考にしています。結成20周年でインディーズ期の音源を再録したアルバムで、過去作品をどう今の自分たちのテイストでアップデートするのかは非常にタイムリーな内容でした。ピンクソーダ、雨乞い、走る丘、ひとり言の進化は素晴らしいです。
Helloween - Midnight sun (sub. español)
あとハロウィンのMidnight Sunに痺れてましたね。
Russian Circles - Death Rides A Horse - 2012-05-07-Genève
相変わらずRussian Circlesも参考にしています。凄すぎて出せているかどうかは別にして。
Santana - Savor/Toussaint l'Overture
サンタナのライブアルバムのMoon Flowerも一応参考にしています。ただ、限界のその先を辛さではなく快楽で持っていく手腕はとても真似出来る芸当ではありませんでしたね。
Hermeto Pascoal - Mixing Pot (Tacho)
直近でダウンロードした宇多田ヒカルさんのToo Proudのリミックスもモロに入っています。普段自分が鳴らさない音が沢山入っていました。これを聴きながらCollpse the Evilwayの脳内ジャムセッションを行うと、Garapagositic Lupin-keyが具体的に見えてきたんですよ。最高のツールとして利用させてもらいました。
後はBattlesかな。広義ではロックバンドなんだけど、その解釈で本当に合ってるのか、という問題提起をくれるものに注目してました。自分でもずっと思っている事で、CDを手渡す際、
「どんな音楽をされているんですか?」
と当然の質問を頂きます。どう伝えていくべきか悩んでいたんですが、中途半端にダンスミュージックと濁すよりも、もうシンセロックと言えばいいのかなと思っています。
昔の自分だったら、「いやいやロックバンドてそんな簡単じゃねえよ」と住み分けに細分化を求めていました。しかし今の自分としては逆に、昔の城台のようにジャンル分けに議論したい衝動を掻き立てるものでいいのかもしれません。
それは愛の証でもあるし、内側に入り込んだファンの習性やサガ、特権だと思っています。
—前のめりな姿勢と思いきや、そこは変に達観してるんですね。
コン城:現場の意見を最速で取り入れているまでです。
—わかりました。アートワークの方はどうですか?
グラ城:デザインに関しては前述した通りです。これまで通ってきた道で、自分の糧になっているものは何かとパッと頭に浮かんだものを組み込んで統制しました。上記にロジャー・ディーンの名前を出しましたが、この影響は次回作Bugfarewelltic Sun-Risesの方に出ているかもしれません。
よくサルバドール・ダリの影響を尋ねられますが、どちらかというとグスタフ・クリムトの方が影響が強いかもしれません。
最近思うのは、作者にしか成し得ないオリジナリティは必要かもしれないけれど、作品自体に作家性が皆無の限りなく自然物に近いもの境地にあるものこそ美しいと思うようになり、自分の視点から美しさを抽出して統制する事でそこに辿り着けるのではないかと思っています。
クリエイティブの成果で生きていきたい思いはあります。そのためにこの道に戻ってきました。しかしその成果物に対して積極的に「これがオレの作品だ!!」と声高に主張する事は果たして正しい在り方なのかと最近疑問に思っています。
作品の表面にサインを入れたら少なからず作品の景観を損ないますし、パッケージのフォントはいいんです。そこに美の意識を置いているからですね。ただ其処に在る美しさには権利の主張が必要ない境地を目指したいなと思っています。
—そういえばこのEPの無料配布CDには、すべての権利主張を放棄する旨の内容が記載されていますね。収録楽曲をどのように利用しても良いと。
グラ城:元々は少しでもこの曲達が広がってくれたらいいな、という思いでした。けれどそうした拡散を目的とした主張すら必要ないと思うようになって、これまで記載だけで言及はしてきませんでした。誰のものでもなくなって、転じてみんなのものになってしまえば一番美しいなと思います。
みんなが自由に使えるいわばフリー素材化したものに意味を付け、時系列順に並び替えてアルバムを作る。それを全国流通させる。レコードストアデイに2枚組LPをリリースする。
あくまでも1アイデアとして発信したいなと思います。普段のブログでは悲痛な叫びを上げていますが、あくまでそれは付属物の一つにしたいですね。この特別な5枚、5つの言葉に導かれて新しい物事が生まれていく。
その存在そのものを守り続けるために、発信し続けるために独立する。起業するのかもしれません。何でもないものをフリーにするよりも、何かしらの価値を持ったものをフリーに落とし込んだ方がいいというのは間違いないので。
その何の価値もないものに価値を付けるために今はひたすら足掻いている状態です。この感情は今しかありません。その一挙手一投足とこの姿を楽しんで頂きたいと思います。
Garapagositic Lupin-key
01 Diaderil Kronuo 2:37
02 C'njaka Evseco 3:32
03 Sanubis tavay DA Garacoron 3:40
total time 09:51
Glow Defective Soldier Records 017
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最後までお読み頂きありがとうございました。現在、城台の自宅兼事務所兼スタジオは電気が止まっています。慣れないスマホ操作によってすべて文字起こしを行いました。
再稼働次第、最終作「Bugfarewelltic Sun-Rises」のレコーディングを再開します。3曲収録で、現在1曲目のOkieは完成しています。続くIsyirとLaurを仕上げていきます。
現在唯一動かせる楽器ガレージバンドを動かしながら、いい予感がしています。デザインも表以外は出来上がっています。構想もバッチリです。7月リリースに向けて急ピッチで進めていきます。
暗がりで生きて来た男が陽の当たる場所に出て歩みを始める。
あなたとわたしの"圧倒的未来のための関係性"
その目前まで
乞うご期待‼️